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体育とスポーツの日記

                      石田智巳が体育・教育,そして運動文化論と運動文化実践(主にランニング)について書いています。

わかっちゃいるけどやめられね。

小林篤著『斎藤喜博―その全仕事』が届きました。

こんにちは。石田智巳です。

 

先日,斎藤喜博さんの研究書を送っていただきました。

今日の話の中味は,本の内容にまで入っていけないと思いますが,とりあえず届いた経緯などを書きたいと思います。

では,どうぞ。

 

先日,家に帰ると封筒が届いていたので,部屋に行ってあけてみる。

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差出人は,小林篤さんであった。

小林さんといえば,日本における体育の授業研究や授業分析を牽引した人だ。

まさに,そのことを『体育科教育』の連載(11月号)に書いたのであった。

 

僕の連載は,実践記録について書いているのだが,なかでもこれまでは授業研究における実践記録の歴史を中心に書いてきた。

この11月号は,実践記録を用いた研究が,生活綴方が後退していくのに歩をあわせて衰退していき,代わって経験科学的な手法を用いた研究が興隆していく姿を描いてみた。

 

体育の領域で,授業研究や授業分析を行ったのが小林さんだったのだが,小林さんは様々な統計的な方法を駆使して研究をしたけど,後によい実践者や実践記録に学ぶという研究方法に切り替えたといっている。

しかし,小林さんが行った統計的手法は、その後の体育科教育学研究の一つのうねりとなった。

 

連載には書かなかったが,僕は科学的な方法が中心になったのは,院生が論文を書くためには手法が確定してるものを用いた方がたやすいという意味で,それを肯んじたい。

小林さんは,機械的に研究を量産する態度を戒めるために(かどうかはわからないが),授業を見る研究者の感性についても述べていた。

連載原稿は,高橋健夫さんとその門下生たちが「子どもから見たよい授業」「形成的授業評価」の研究を進めていた頃に,佐藤学さんが規範的アプローチに対して,メッタ打ちを食らわせたと述べたところで終わった。

 

佐藤さんは『教師花伝書』(小学館,2009)において,授業の技術について次のように述べている。

「授業の技術は『技能(skill)』ではなく,『技(craft)』あるいは『技法(art)』である。授業実践は日常的行為ではなく,創造的な行為だからである」。

「もし授業に関わる『技術』で個別にトレーニングすることによって授業に生かされる『技術』があるとすれば,それらの『技能』はわずか数時間,せいぜい数日の訓練によって形成される類の『技能』であって,取り立てて教師の教育や研修で行うような内容ではない」(63頁)。

 

なるほどと思う反面,だから大学の模擬授業などでは,こういった技能もまた取り扱うことにしている。

子どもを動かそうと思うならば,話を聞かそうと思うならば,その方法を知ること,そして自分の授業で試してみて自分の形にすることが大切だと思う。

授業で子どもの運動時間の確保を目指すなら,無駄な時間をマイナスすることで運動の時間をプラスすることを知ることも大切だ。

そのぐらいのことしかできないというのは,開き直りかもしれない。

でも,高橋さんたちの研究には学ばせてもらった。

 

さて,11月号が手元に届く前に,小林さんから丁寧な手紙と同時に本が送られてきた。

『体育科教育』は公費で買っているので,大学に届く。

大学に届くといっても,研究室に届くわけではないし,届いたので取りに来いというアナウンスがあるわけでもない。

だから,結果的に先に読まれてすぐに手紙を書かれたであろう,小林さんのその手紙の方が先に僕のところに届いたことになる。

ものすごく素早いということだ。

 

実は,以前も『体育科教育』で言語活動について書いたときに,小林さんの著作からいくつか引用させていただいたが,そのときもはがきをいただいて恐縮したことを覚えている。

中村敏雄さんもよく手紙を書かれたということだが(僕もいただいたことがある),こういう「読んでいますよ」という対応は嬉しいものだ。

 

この封書のなかに,お手紙と並んで本が入っており,謹呈いただいた。

それが『斎藤喜博―その全仕事』(一莖書房)だ。

この本を読んでいくとわかるが,『斎藤喜博』というタイトルの本はかなりあるみたいで,ダッシュ(―)のあとのサブタイトルで棲み分けをしているようだが,これは「全仕事」と書かれている。

 

この一莖書房というのもまた,斎藤喜博さんの関係の本屋さんだそうだ。

僕の手元には小林さんの『体育の授業』(1975)があるが,これも一莖書房であり,「授業叢書1」と書かれている。

「授業叢書2」は斎藤喜博さんだから,小林さんの位置がすごいね。

 

昨年,香川で教育のつどい(教研集会)があったときに,リズム構成の実践記録を報告してくださった方がいた(その前の名古屋の時にも別の若い先生がいた)。

その方が,石塚真悟さんの本を持っておられたのだが,この石塚さんも島小,境小におられたという。

そして,その報告された先生に,リズム構成は斎藤喜博さんの影響があるのかどうかを訊いたところ,それは愚問だったようだ。

というか,当たり前だった。

で,この本もまた一莖書房だった。

 

まとまりのない話をつらつらしてしまったが,小林さんに対するお礼が遅くなってしまったことをお詫びするとともに,素晴らしい本を送ってくださったことに感謝したい。

これから読んでいくが,長い序章には,生涯について書かれていて,そこから教育,合唱,短歌などの全仕事について語られる。

 

楽しみに読みたいと思います。

小林先生,ありがとうございました。

これからもよろしくお願いします。

 

 

 

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