『たのしい体育・スポーツ』 7.8月合併号(№293)が届きました。
こんにちは。石田智巳です。
7月になり,『たのスポ』7.8合併号が届きました。
特集は「子どもがわかるデータの取り方・生かし方」です。
今日は,手に取った印象とそこから展開される話です。
何が出てくるのでしょうか。
では,どうぞ。
『たのスポ』が届くとホッとするが,合併号が届くと,複雑な気持ちになる。
特に,夏の合併号はそう思う気持ちが強い。
つまり,7.8月と2ヶ月もあるのに,『たのスポ』は1冊しかない。
このブログの使命(ということにしている)は,『たのスポ』の中味(良さ)を簡単に紹介することにある。
だから,なるべく紹介を長びかせたいのだが,長びかせると時宜を得てないことになる。
さて,今回は「データ」に関わる特集だ。
ちょうど夏の総会に提案する「研究局の2年間の総括と次の2年の方針」を書き終えて,事務局の担当者に送ったところだった。
2013年のあわじ大会の前の総会で,3つの中期的な目標を示した。
これは,次の2年もまたこの目標を掲げていきたいと思っている内容が含まれる。
その1つは以下の通りである。
『第一に,「ともにうまくなること(技術性・達成)」とかかわって,子どもの思い方や感じ方,うまくなる事実を取り出す方法の探求が課題となる。
私たちは,何らかの観点と方法(綴方,作文,感想文,MRI,スコア,各種調査)を持って子どもたちにかかわっていき,子どもの反応を得ている。
同じ教材の指導でも,小学校4年生の子どもと中学校2年生の子どもでは,認識レベルや技能レベルの違いがあるため,子どもへの働きかけ方に違いが出てくると思われる。
それらの違いを明らかにすることがここでの課題の一つである。
もう一つは,「できた」「わかった」「うまくなった」というときのその質をどのように把握し評価するのかという課題である。
これらを実践の後に記録として残すことで,教師の成長へと繋がる重要な課題領域でもある。』
これは,まさに各種データを取るといったときの取り方,活かし方を工夫しないといけないというものなのだ。
かつて開発された触球数調査,スピード曲線,手形足形などは,水道方式でいうところの「タイル」にあたる。
自分たちの運動の事実,思考の事実をどう取り出すのか,そしてどう活かすのかは,「わかってできる」を標榜する体育授業では決定的に重要なのだ。
だから,今回の特集は期待のできるものである。
しかし,総会議案の「総括と方針」には以下のようにも書いた。
『この2年間は,連載「時代を拓く実践をたどる」には企画などで参加したが,研究局が特集企画に参加することはなかった。
この両局のコラボは,常任委員会全体(つまり,事務局や出版経営局を含めて)で,会の研究推進にかかわる議論がなされて,各パートの協同が得られるものであり,今後はその合意を得て進めていきたい。』
研究局が研究の4つの柱(1つはみやぎ大会総会で追加承認)のトップに掲げたこういう企画だからこそ,編集委員会と研究局がコラボする必要があるのだが・・・。
といっても,研究局が情報を持っているというわけでもないのだが・・・。
これは,先日の常任委員会でも編集,研究の両局から話が出たので,次の2年はなんとかしていきたいところだ。
目次をみると,できるだけ多くの方法を紹介したいという思いが見て取れる。
「実践のひろば」が8本。
論考が2本。
その他,スポーツの最前線でのデータの取り方や活用の仕方などもある。
でも,だからこそ,編集後記に「成」さんが書かれているように,提出が遅くなった原稿もあったようだ。
苦労された様子が書かれている。
あっ,兵庫の新井さん報告もある。
昨年のみやぎの大会では,新井さんはバレーボールの実践を報告するはずだったが,仕事で急遽キャンセルされたのだった。
あの実践記録では,アタック率がすごく高まったことが載っていた。
これは聞いてみたかった。
今回も楽しみだ。
堀江さんの記録もある。
山梨の堀江さんのもだが,東京の堀江さんの報告だ。
これは両方とも楽しみだ。
山梨の堀江さんは,1月の60周年関東集会でとてもユニークな実践報告をしてくれた。
東京の堀江さんは,1.2月の合併号で八丈島の末吉小学校の実践のことを書いている(『たのしい体育・スポーツ』1.2月合併号 堀江さんの文章を読む )。
これがとても面白い内容だったが,やはり同じような内容で,違うことも書かれているようだ。
そして,八丈島といえば,10月のブログに,体育同志会の大先輩である菊池浄さんのある意味「実践記録」であり,末吉小学校での頃を綴った記録を読んで,書いたことがある(菊池浄「末吉小学校を思う」を読む )。
そうしたら,先月のことであるが,菊池さん本人から連絡をいただいた。
このことについては,また機会があれば書いてみたいと思う。
なお,菊池さんは80を越えたそうだが,毎日のようにブログ(サンゴシトウ,楽天ブログ)を書かれている。
ぜひ,ご一読あれ。
みのお大会で講演をお願いする森川貞夫さんからも,先日連絡をいただいた。
授業でブログの話というか,一昨日のyoutubeをブログにあげていいか訊いてみたら,読んでいるという学生がいて驚いた。
今,校務が忙しくて,へばり気味だけど,それはもしかしたら,ブログを1年書き終えたので,安堵感からやる気を失いかけているだけかもしれない。
全体にやる気が出ないのだ。
だから,やる気を出すためにブログを続けることにしよう(かな?)。
最後に,先月号(6月号)で気になっていたことがあったのでそのことに触れて終わる。
それは,連載「時代を拓く実践をたどる」についてだ。
おそらく,日本中でこのことを思ったのは僕を入れて3人ぐらいだと思う。
先月は,大阪のアサヒさんが大阪の「競争研究」を担当して書いた。
ちょうど,昨年の12月号の特集も「競争」だったが,それをコンパクトにまとめてくれていた。
その前の5月号は,鹿児島の五代さんが「上屋の実践(台風でプールの屋根のような上屋が壊れて,火山灰がプールに入って泳げなかったところから始まる,スポーツ権にかかわる実践)」について書いてくれていた。
その前の4月号は,覚えているだろうか?
僕が書いた。
これは,70年代以降の体育同志会の研究課題を整理したものだ。
何が言いたいかというと,5月号(上屋)は「スポーツ権」と「体育の学力」が意識された実践だった。
6月号(競争)は,教科内容研究の時代の実践だ。
そして,今月号(井上実践)は,グループ学習の実践であるが,これは教科内容研究の前のどちらかといえば,「スポーツ権」に関わる内容なのだ。
僕は,上屋のあとに,競争が来て,「あれ?スポーツ権と学力はあれだけ?」って思ってしまったのだ。
そして,「井上実践はないの?」とも。
あってよかった。
でも,どうしてこの順番なのだろう?
さて,この井上実践には,この号の特集にとって教訓となる話が書かれている。
四海さんという僕の大学の先輩(彼は当時長距離走をやっていた。今,僕は長距離走をやっている)が書かれている。
データ主義の陥穽もまた意識する必要があるという意味で,いやいやデータを取ったからこそわかることがあるという意味で,そして,実践を予定調和にしないという意味で,この実践は読んでおきたいものだ。
個々の内容は,読んでまた紹介します。