体育とスポーツの日記

                      石田智巳が体育・教育,そして運動文化論と運動文化実践(主にランニング)について書いています。

わかっちゃいるけどやめられね。

原稿のこと2

こんにちは。石田智巳です。

 

昨日は,『運動文化研究』32号に載せる原稿について,つまり,体育同志会の創立60周年記念特集の原稿について書きました。

僕に与えられたのは,「研究組織の変遷について」でした。

今日は,やはり今週に脱稿して,関係者に送った原稿について書きます。

では,どうぞ。

 

あれは,9月の常任委員会の前の日のことだったと思う。

金曜日の夜に,新宿事務所に行った。

この日に,『たのしい体育・スポーツ』誌で連載している,「時代を拓く実践をたどる」の計画についての話し合いがあった。

 

今月には広島の四海さんの「ござ飛び越し走から,ハードル走」の実践が載っている。

このあたりは,グループ学習の実践であるが,連載では次に「スポーツ権」や「主体者形成」を目指した実践群と,教科内容研究を取り入れた実践群が来ることになっている。

 

それで,誰のどの実践を,誰に書いてもらうのかを中心とした話し合いとなった。

原稿にも書いたが,スポーツ権を実践化するとか,主体者形成を目指した実践というのは,非常に難しいことだった。

80年代に鹿児島で取り組まれた,火山灰からプールを守るという実践があるが,それ以外にどういう実践があるのかという議論になった。

 

そして,取り上げる実践が決まって,お願いする人も決まった。

そしたら,次は「教科内容研究」を取り入れた実践である。

これも,誰のどの実践を取り上げて,誰に書いてもらうかの話になった。

 

そのときに,ある意見が出された。

つまり,「スポーツ権」とか「主体者形成」とか,「教科内容研究」というのは,時間的につながっているように見えるのだが,なんで主体者形成が出てきたのか,それがどうして教科内容研究にいくのかがわかりにくい。

ここが読者に見えないと,ただそういう時期があって,そういう実践が行われたとなるだけではないか,と。

 

これをいったのは,実は僕であった。

というのは,その会議に参加した森,久保,大貫諸氏は,90年代に教科内容研究が起こるのを目の当たりにしているので,ストーリーはわかるだろうが,僕はそこがよくわかっていなかった。

だから,その時代の研究の広がりや重点が,どういう流れで形成されたのかを,簡単にでもお知らせしておいた方が親切なのではないかと申し述べたのだ。

 

そのほうが親切でしょ。

で,僕としてはこういうのは久保さんだよななんて勝手な算段をした。

ところが,「じゃあ誰が書くか?」となって,最近執筆していない人ということになった。

僕も候補に入っているということだ。

で,見たら,あたりでした。

 

「う~ん」。

マーフィーの法則はよく当たる。

ということで,この原稿も書くことになった。

 

で,ちょうどというか,昨日ブログに書いた原稿に,80年代以降の研究組織についてと研究の中味について整理していたのだった。

そのため,研究の中味についてをまとめれば良かった。

ただ,難しかったのは,次のことだ。

出原さんが1991年の埼玉・秩父の大会で,『体育実践に新しい風を』(大修館書店,1993)の20頁に載っている中学校の教育課程試案ABが,どういう経緯で出されたのか?

要するに,教科内容研究がいかにしてはじまったのか。

それがよくわからなかった。

 

そこで,こういうのは人に聞いた方が早いと思ったが,聞かれた方は何となく答えてしまいそうで,結局は文献にあたる必要があるので,やはり文献を調べることにした。

こういうときに『運動文化研究』はいい味を出す。

基本的に,その時々の研究の記録が載っていることが重要なのだ。

僕がやったのは,『運動文化研究』の1984年から1992年までの号を集めて,教育課程分科会の議論の整理だ。

 

そうしたら,何となく浮かび上がらせることができた。

それは原稿に書いているが,まだ出ていないのでここには書かない。

でも,分科会の議論は,ゆっくりとではあるが,着実に進んでいることがよくわかった。

毎年課題が整理されて,それが基調提案に書かれ,そして実践の報告やそれをもとにした議論がなされている。

 

でも,実践報告をもとに議論を行うため,分科会に漂うモヤモヤした感じも読み取れた。

みんなが引き取れる部分と,その実践に固有の課題があるからだ。

そのモヤモヤ感を振り払ったのが,出原試案だった。

ただ,すぐに教科内容研究にシフトしたかどうかはわからない。

たぶん,慎重論もあったと思う。

でも,そこは僕の原稿の範囲外だ。

 

ということで,最後には蛇足かもしれないが,課題も記しておいた。

あとは,史実に間違いがないか,もっと違う要因があったのかなかったのかを確認して,提出すれば終わりだ。

 

結構勉強になりました。

正直にいって,やってよかったと思っています。

 

 

http://tomomiishida.hatenablog.com/