体育とスポーツの日記

                      石田智巳が体育・教育,そして運動文化論と運動文化実践(主にランニング)について書いています。

わかっちゃいるけどやめられね。

体育同志会の冬大会 2日目の様子

こんにちは。石田智巳です。

 

今日は,豊橋市のシーパレスリゾートで行われている体育同志会の,全国冬大会の二日目の様子です。

では,どうぞ。

 

このブログでも何回かお知らせしたが,今回の冬大会は,いつもと違う。

いつもだと,あるテーマに関わる理論的,実践的な話を聞いて,議論するというパターンで行われる。

それはそれで,一生懸命に聞けば勉強になる。

しかし,時々(いや,結構)空中戦の様相を呈すのだ。

 

で,僕は昨年の冬大会の内容の充実度に反比例して,参加者の少なさを嘆いていた。

場所の問題ではなく,若い先生たちが聞きたい内容になっているのか,本当に「勉強した」,「充実した」,「年が明けたらがんばろう」と思えるものになっていたのかどうかとなるとやや怪しさを感じていた。

 

それで,実践分析に参加者が参画するという企画にしたのだ。

それには,神谷くんという強力な助っ人の存在も大きかった。

そして,夏の注目の実践に選ばれた中川実践と石井実践というすばらしい実践があったことも大きい。

 

で,1日目は中川実践と石井実践を聞いて終わった。

質問の時間は二日目にまわした。

実践を1本聞くというのは,それなりにエネルギーがいる。

体育同志会の場合,1つの単元に,平気で長い時間をかけるからだ。

教えたいことあるし,育てたいこともある。

 

それで,二日目の様子である。

僕は,役割分担上,石井実践の担当となった。

3日目の朝に,二日目の議論状況を報告するのだ。

で,朝9時から夕方5時半までみんなで石井実践の分析をした。

 

最初,神谷くんが打ち込んでくれた,体育の得意な子と苦手な子の感想文を打ち込んだ一覧を,6人一班の参加者で読み込んで,感想の変化(集団の質,技術に対する認識の質)を読み取る。

そこから,各班の読み取りを交流して,実践者へ訊きたいことや,論点の整理を行う。

そして,午後に議論をして,実践の再構築を行う(あなたがこの子どもたちに,同じ時間と教材を与えられて,同じ時間で実践を行うならばどうするか)をみんなで作っていく。

 

実践分析が始まった。

どんな読み取りが行われるのか,どんな議論になるのか楽しみだ(った)。

そして,10時40分ごろ,休憩後の再開で各班の読み取りの報告。

 

が~ん。

石井実践がズタズタに切られていく。

読み取れないという。

 

え~。

いろいろ書かれているでしょ。

僕が読んだら,感想文に変化はあった。

僕が聞いていた班でも,読み取りを行っていた。

そこには子どもの感想文の優れた読み手がいて,いろいろ勉強になる話をしてくれた。

 

でも,出てきた意見の多数は,実践そのものへのネガティブな反応。

これは,やばい。

実践を斬ることが目的ではないのに。

それでも,石井さんの問題意識に共鳴する人もいて,午前中の最後は,そんな意見も出て終わった。

 

昼休みになって,これは次の議論の進め方が重要になると思い,神谷くんと打ち合わせをしていたら,優しい先輩方が来て,ありがたいご意見をくださった。

そこで,それを軸に,議論の仕方と質問項目,そして論点を示したワードファイルを作成し,それをスクリーンに映しながら,進めることにした。

 

再開して,石井さんの話を聞くうちに,できない子とできる子の感想文分析では見えなかった実践の意図が見えるようになってきた。

石井さんの子どもの感想は,技術に対する認識以外の認識を読まないといけなかったのだ。

それが,みんなは技術に対する認識をひろおうとしたため,感想から集団の質をとりだせなかったのだろう。

 

でも,石井さんの話を聞いていて,参加者の感想の読み方にも変化が現れた。

たとえば,苦手な子どもは,発表会をやると云うことに対して,最後まで「いやです」といっていた。

それを分析する側は,最初,その感想が最後に出てくると云うことは,「実践は失敗だったのではないか,少なくともその子にとって」,といっていたのだ。

しかし,石井さんは,その子が自分の「いやだ」という本音の気持ちを表現したそのことに価値を認めていた。

その子は,それまでは,自分の意見を表明しなかったのだ。

 

そういう実践の事実も明らかになってきて,石井さんが子どもたちの友達観を変えるために敢えて習熟度別班を作らせてみたことへと議論が及ぶ。

ここでも,優れた感想文の読み手が,すばらしい見方を示す。

ここは紹介しないが,このときの議論は,賛否に分かれて談論風発で白熱した。

これはいい議論だと思った。

 

とにかく,石井さんは,体育同志会のグループ学習も相対化したのだ。

それすら,子どもたちに考えさせようとした。

結局,教材や指導法の理解への弱さは確かに指摘されとおりだったかもしれないが,実践そのものの太さが,それらの批判を吹き飛ばして,教師の思いや願いに迫れる実践となったことは間違いない。

 

最後は,もし自分たちがこの条件で実践をやるのであればどうするかという流れで,それはそれでおもしろかった。

でも,技術に関わらない認識をどう読むのかとか,そもそも集団の質とは何かを明らかにすることが今後の課題となると思った。

 

今回,いわゆる同志会実践らしくない実践が出てきたわけだが,そのことで実践の分析をやりにくいものにしてしまったことは事実だ。

でも,そのときに自分の見方を相対化できることも大切だと思ったし,また,そのときにどれだけ実践者の思いや願いや問題意識に寄り添ってみることができるのか,それも重要なことだと思った。

 

5時半にきっちり終わった。

そこで着替えて走りに行った。

昨日走れなかったから少しでも走っておこうと思ったのだ。

6時半にかえってきて,着替えて食事。

7時から世話人会議。

それが終わって,9時半ぐらいから研究局会議。

11時前には終わって,お風呂。

そして,ブログの記事を書く。

 

今日も長い一日でした。

充実していたので良かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

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