体育とスポーツの日記

                      石田智巳が体育・教育,そして運動文化論と運動文化実践(主にランニング)について書いています。

わかっちゃいるけどやめられね。

「奈良マラソン2014」を走りました

こんにちは。石田智巳です。

 

今日は,日曜日に走った奈良マラソンについて書きます。

まだ,足がボロボロです。

では,どうぞ。

 

昨日のブログに書いた通り,これからマラソンを走るのに,体調があがってこなくて困っていた。

体調の悪さには二つある。

一つは,内臓系,もうすこしいえば肝臓である。

走り始めると,重くなって,心拍数が上がるときつくなって走れなくなる。

これは,アルコールとコレステロールが関係するのだと思う。

だから,体調があがってこないというのの一つは,アルコールや脂質を含めた栄養面の管理が悪いということだ。

 

そして,もう一つが,走り込みと調整のバランスが悪かったということだ。

5月か6月に,ラン友の石井ちゃん(東京)に刺激を受けて,走る距離や頻度を上げたが,あげるだけあげて,ついうっかり,下げること(調整)をおこたってしまったのだ。

 

この二つのことがあって,ずっと不安を抱えたまま,当日を迎えることになった。

で,本番。

朝起きて,着替えてから,身体を起こす意味も込めて外へ出て動く。

最初に歩いて,それからジョグをする。

まだ,ねじを締める前なので身体がバラバラするが,速くなくていいので,とにかく動いて身体を起こしていく。

 

家に戻って,食事をして,支度(着替え,荷物チェック,コンタクトレンズ,擦れ防止のテープ,土踏まずにテープなど)をして,会場に向かう。

何しろ,家から会場の鴻ノ池競技場までは,車で10分程度なので,楽ちん。

 

会場に着いてからは,寒さの中,いろいろ支度するが,とてもアップをするという状況ではない。

さっさと用意して荷物を預けて,8時40分には定められたスタートのエリアに行く。

8時45分以降は,最後尾に並ばないといけないからだ。

 

寒い中,福井から来たというトラキチのおばちゃんが,スタート前のやり場のない時間に話しかけてくる。

こういうのがとても和んでいい。

大会は5回目で,おばちゃんも5回目だそうだ。

10分ぐらい前になると,奈良放送のアナウンサーが話し始めた。

そして,知事,奈良と天理の市長,有森裕子さんらの話があって,スタート。

 

僕は,「バン」から3分20秒ほどして,スタートラインをまたぐ。

そこで,ガーミンを押す。

しかし,しばらくは,ノロノロしか進めない。

走り始めは下り坂なので,前を見ると,すごい人の絨毯。

それが,高天の交差点(近鉄奈良駅のあるところ)まで続く。

高天を右(西)に曲がって行くが,2キロ過ぎぐらいからようやく自分のペースで走れるようになる。

右手には朱雀門平城京跡だ。

最初だから景色を見る余裕があるが,ペースをつかむというか,ペースを設定することに腐心する。

余裕というのは,例えば,最初のガソリンスタンドでレギュラーが137円/Lだったことに,「安い」と思ったことなどだ。

 

当たり前だが,下ればペースは速く,上ればペースは遅くなる。

最初は,顔を上げて声援に応える余裕もある。

8キロぐらいから上りになるが,このあたりはまだまだ楽勝。

太陽が出ないので,寒さはあるが,丁度よいのかもしれない。

奈良公園の間を通っていったん西に行き,そして南に向かう。

ここからはしばらく直線が続く。

 

東に曲がって,16キロぐらいから上りが始まる。

それが,20キロ過ぎまでずっと続く。

肝臓は少しだけ張りを感じるが,今のところ大丈夫そうだ。

足は,前日まで休んだり,マッサージをしてもらったり,祈祷にいったりして(ウソ),何とか走れる。

 

さすが都市型マラソン。

コスプレ,着ぐるみなどたくさんいる。

最初はなすびと併走した。

きつい上りの途中で,原始人を抜く。

この原始人は,はだしで骨を持って走っていた。

このあたりで,「いけないルージュマジック」の清志郎子ども店長ではない)が歌っていた。

おじさん二人がアコーディオンを弾いていた。

たくさんの人が,飴やチョコなどを渡してくれた。

ぶちあわせ太鼓もあった。

淋しい場所で,応援してもらえるのは嬉しい。

僕はチョコをもらって口に入れたが,寒さで固くて上りを走るにはつらかった。

 

こうして名阪国道を渡る橋に。

ここが一番高いところだ。

つまり,後は下りなのだ。

この下り(復路は上り)がきついのだが,ここで中間地点を通り過ぎる。

 

坂を下ったら,いわゆる天理教のある天理市だ。

ここも上って,下って,折りかえして,上って,下る。

このあたりもきついのだが,横を走っていた人が,沿道の人に逆に声をかけている。

この人素晴らしいなあと思うが,とてもマネができない。

だんだんきつくなってきて,下を向きがちになる。

 

天理教本部への上りもあって,上り切ったところに,ぜんざいがある。

当然,振り切って,走りつづける。

 そして,一番きつい上りへ。

この辺で歩く人も出てくる。

28キロぐらいから31キロぐらいまで上りが続いて,後は下る。

この間の1キロは,5分17秒ぐらい。

これってちょっと速いじゃないの?と思うが,ペースを変えるのは難しい。

上りきったら下りだからいいだろう,と安易な考えを持って走る。

 

上りきったので,下りは楽に行けるかと思ったが,下りは足にくることがわかった。

それでも,この1キロは4分45秒ぐらいになる。

そして,フラットからやや上り,そして下る。

このあたりで気づいたのだが,フラットな道を走っても,ペースが上がらない。

ペースが5分15秒ぐらいなのだ。

きつい上りと同じペースでしか走れない。

上り下りで,完全に足をやられてしまったようだ。

 

沿道では,相変わらず多くの人が声援を送ってくれる。

はじめのころは,喜んで手を振っていたが,この頃になると,声援を受けて,ようやく顔をあげるようになる。

ということは,ずっと下向いて走っているのだ。

まるで家計簿を真剣に見ている主婦が,誰かに呼ばれたときのように。

とにかく太ももがパンパンで,足の裏が鉄板のように硬い。

なぜか「アポロ13号」を思い出す。

 

走っていると,また上りがある。

この上りは200mもないが,これがきつかった。

アポロ13号」では,電圧が下がったかなんかで,機内にあるものを使ってブリコラージュする。

それと同じで,足のエネルギーが切れかけたので,体中の残りエネルギーを足に集中的に投下して走ろうとする。

 

35キロまできた。

上り終わって,奈良佐保短期大学の前を通り,奈良教育大学の前を通り,高畑から下って奈良公園へ。

奈良公園で,また上って下る。

鹿もいるが,目に入ってこない。

 

ここでも多くの人が声援を送ってくれる。

「がんばれ~」って,いわれると「(頑張ってるよ~)」と心の中で返事をする。

まじめな顔で応援されても,にこにこ笑いながら応援されても,なんだか素直になれずに,なぜか腹が立ってくる。

村上春樹もおなじようなことを書いていた。

 

東大寺の山門の前を通り過ぎるときに,となりにサラリーマンがスーツで走っていた。

沿道からは,「サラリーマンがんばれ!」と多くの声が飛ぶ。

「オ,オレもがんばっているのに無視するな!」とこれまた身勝手に腹を立てる。

 

こうして,県庁を右(北)に曲がるところで,うちの子どもたちの声援が聞こえた。

苦しさにゆがんだ顔を,笑顔に作り直して,手を振って余裕を見せる。

通り過ぎたら,また苦しさで顔がゆがむ。そして下を向く。

 

この頃になると,これまで機械的に右足左足と出していた動きを意識してやらないといけなくなる。

つま先立ちになっていたので,「だからきついのだ」と思って踵で着地をしてみる。

そうしたら,痛くてぜんぜん走れないのでもとに戻す。

身体はきついときに,自然に楽な姿勢や動きをしていることがわかる。

40キロを過ぎると,それまでパンパンだった太ももよりも,両足のスネの下あたりが張っているのが気になる。

スネの中から何かが飛び出してくるのではないかというような,塊のようなものを感じる。

敢えて言えば,エイリアンが皮膚を突き破ってくるというイメージだ。

 

角を曲がって,あと2キロを切るが,ここからまた上りなのだ。

もうあとちょっとだから,耐えるしかない。

もうちょっとで,走らなくてよくなる。

そればっかり考えていた。

競技場に入って,150mほど走ってゴール。

 

みんながおめでとうといってくれるのが嬉しい。

もうこれで走らなくてもよいというのが嬉しい。

タイムは,3時間35分56秒(ネットタイム)。

FBでサブ3.6とふざけていたが,実現した。

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走り終わると寒いのだ。

寒さでかじかんだ手で,着替えて,歩いて臨時バス乗り場へ。

階段の上り下りがきつかった。

走っているときもきつかったが,その後の日常生活の方がきついのかもしれない。

すごい代償を払ったということだ。

 

それにしても,コースもインパクトがあったが,沿道の応援も,スタッフもすべてにおいてとても素晴らしい大会だった。

来年も是非出たいと思う。

 

バスに乗ると10分で高の原駅に着く。

うちに帰って,風呂に入って,久しぶりに餃子(餃子の王将)とビール。

 

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よく走りきりました。

お疲れさま。

ゆっくり休んでください。

月曜日は一限から授業ですから。

 

 

 

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