全国教研集会in香川 2日目 分科会の様子
こんにちは。石田智巳です。
教育研究集会in香川の二日目です。
今日は,分科会と小分科会の報告です。
では,どうぞ。
朝はホテルのバイキングで讃岐うどん(?)を食べて,タクシーに乗って会場へ。
僕の今回の讃岐うどんはこれだけ。
今日は,10時からまず分科会の全体会。
はじめに,討論の投げかけを共同研究者が行う。
最初に,分科会代表の森敏生さんが,体育・スポーツを巡る情勢についての報告と投げかけをした。
次が僕であった。
僕の投げかけは,道徳の教科化の問題と絡めて,対抗軸を作りだそうというものであった。
実は,去年の投げかけもこの問題に関わって行った。
しかし,今年は要項にも「躾や道徳主義的な対応ではない,私たちの実践的対応について交流し合います」とあった。
そのため,「道徳のこの間の動きについて,レビューをしておく必要があるぞ」と思ったのだ。
詳細は触れないが,以下の四つの柱で報告をした。
- 道徳教育を巡る最近の議論
- 弱者に厳しく,強者に優しい社会における道徳教育の批判の論点
- 道徳に関わって体育(教育)で議論されていること
- 対案づくりのための実践的な研究を(投げかけ)
投げかけは主に次の3点を提起した。
- 各学年や発達改訂における子どもの生活課題の把握。
- 子どもと教材(体育,健康,食)が出会うときに,どのような矛盾の形となって現れるのか。
- その矛盾を実践的にどう克服しようとしたのか?
その後,全体で現状の報告,質疑などが行われた。
昨年も話題になった,体罰問題と道徳についての質問もあった。
これについては,昨年,報告を行った森さんが引き取って答えられた。
かなり丁寧に答えられたので僕の方では,あえて何も言わなかった。
が,「技術や戦術の指導と道徳の問題は切り離されないといけない」ということは云いたかった。
熱心な指導者は,「人間として」「心を育てる」ということを口にする。
つまり,ある意味で体罰も(道徳)教育の一環なのだ。
それは,日露戦争のころから軍隊に,そして,その方式が学校に入る。
肉体をいじめて,精神を鍛える。
学校で武道を実施するのは,武技を身につけるためではなく,丸ごと絶対服従の精神を養うためだ,といったのは城丸章夫さんだった。
この精神主義には,仏教の修行もあると春に草深さんが云っていたのが興味深い。
確かに,五体投地とかは肉体をいじめている。
それによる精神修養が目指されている。
戻れ。
ほかにも,貧困に対して我々ができることは何かという問いかけもあった。
午後は,調布市で起こった食物アレルギー問題(アナフィキラシーショックによる死亡事故)を受け止めて,問題や課題を考えるということを,全体で行った。
その後,小分科会に分かれての議論。
体育小分科会は今年,3本のレポートがある。
そのうちの2本を今日,1本を明日行う。
一つめは,表現運動の実践である。
「体と心を育てる表現運動『リズム構成』を創る
子どもたちが夢中になる教材をどう創ったか
『パチャママのとりかえっこ』の取り組みから」
この「リズム構成」は,テキストに音楽をつけて,それに合わせる振りをつけてクラス(学年あるいは2学年合同)で行う舞踏劇のような表現運動である。
毎年,運動会の出し物として取り組まれているようだ。
石塚さんという先輩教師が行っていたのに影響されて,新任の年以来これまで30年以上も続けてきたという。
何しろ,最初の時に,石塚氏の指導した子どもが,ものすごく美しく見えたという。
そのため,リズム構成を作る会を結成したのだ。
ここで大切にしているのが,「内面化」だそうだ。
内面化には,「テーマの内面化」「動きを引き出す内面化」「感覚を呼び起こす内面化」がある。
ものすごく単純化していえば,「強く押せ」ではなく,「堅いコンクリートの壁を動かすようなつもりで」というように声をかける。
子どもたちのイメージを喚起する言葉を内面化し,それが動作となって現れると云うことだ。
これについては,体育同志会の昨年の中間研究集会でも取り上げた。
そして,この議論は昨年も群馬から来られた若い先生が,「リズム構成」の報告を行ったが,そのときも全く同じことを大切にしていると云われた。
僕は共同研究者だから,最後にコメントをした。
詳細は省くが,このときに次のことを訊いた。
「斉藤喜博さんの影響はあるのですか?」
「石塚氏がキハクさんと一緒だったときがあります。だから,影響はあると思います。」
僕が斉藤喜博の名前を出したのは,お世話になった先生にある話を聞いたことがあるからだ。
その先生(元岩国短大の黒田先生)が,若いときに斉藤喜博の研究会に行って,急遽,授業をやれと云われたという。
そのときに,「川をクラスの子どもで表現する」ことがテーマだった。
黒田先生は,子どもたちを裏の川に連れて行って,川を見させて,それから教室に戻って表現させて上手くいったという。
この話を聞いていて,また群馬ということで斉藤喜博の影響を訊いたのだった。
斉藤喜博の研究者である小林篤さんや阪田尚彦さんは,この研究会を知っているのだろうか。
石塚氏は当初は43分もかけて演技を作っていたそうだが,今は15分程度。
それでも大変だと思う。
でも,これをくぐった子どもたちは,大きく成長するという。
演技もよかったが,成長するのは演技だけではないそうだ。
課題の一つは,これをやるためには同僚や学校の協力が必要ということである。
そのため,こういう取り組みを続けていくためには,どこまで簡素化して,あるいは他の先生が食いつきやすくするのかであろう。
何しろ,今の先生方は忙しいから,負担に思うようでは食いついてこないだろう。
それにしても,一度,実際に見に行ってみたいものだ。
ちなみに,石塚氏が出されたという本を買った。
帰りの電車で読もう。
この日は,その後,エイサーの実践も報告された。
議論する時間がなかったので,質問のみで終わった。
そのため,この報告はまた明日にしたい。
夜は,高松駅のそばの居酒屋に移動して,同志会の夕べ。
写真は大ジョッキ。
上の写真ではわかりにくいが,大ジョッキは中ジョッキの倍以上はある。
バケツだ。
その後はおとなしく帰って寝ました。