バレーボールの指導3-再び授業を見る
こんにちは。石田智巳です。
これまで紹介してきたN先生のバレーボールの授業(小5)を,再び見に行ってきました。
問題が発生していました。
子どもは賢いです。
では,どうぞ。
先週の木曜日(11月21日)に,N先生の学校で体育授業を見せていただいた。
5年生のバレーボールで,自分のコートで三段攻撃ではないにせよ,3回つなぐことができたら「つなぎポイント」を獲得することができるというルールでゲームを行った。
授業を見に行く前は,3回とか5回とかしか出現しなかったのだが,例会で報告を受けて,この「つなぎポイント」を何らかの形で得点化することで,授業のねらいである「つなぐ」に目を向けることが出来るのではないかという議論になった。
そして,例会の翌日,N先生はよくつないでいるがなかなか勝てない赤チームを念頭に置いて,「つなぎポイントの2倍を得点に加算する」という方法を考えて,子どもたちに提案した。
「なんと大胆な!」と思ったが,特に反対の発言はなく,「つなぐ」ことに目を向けられたという。
そして,木曜日に僕が見に行ったときも,最高で21点のつなぎポイントを得たチームがあった。
なので,後はつなぐことに目を向けさせる段階から,つなぐ技術や戦術の学習へとどう持って行くのが課題だということを,前回の記事に書いた。
ところが,授業が終わった後,子どもたちから不満が出たという。
「つなぎポイントを2倍して得点に加算する」ことからくる不満だった。
これは予想できなかった。
どんな不満だったでしょう?
1分間考えてみてください。
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それは,「3回つないだらわざと相手に返さない」ことをするチームが出てきたのだ。
考えてみれば,相手につなぎポイントを取らさないようにするには,味方が3回つないで返さなければいい。
相手に通常得点の1点が入るが,こちらは2点になる。
極端なことを言えば,相手のサービスを3回でつないで返さないということが続けば,得点が15対0でも,合計得点は15対30になる。
子どもは賢い。
ルールがそうなっているならば,そのルールに則って勝ちを目指すのは当然。
ただし,これでは元々のバレーボールというゲームの特性から考えると,「おかしい」ということになる。
これ以上の技術・戦術的な発展がないから。
となると,ルールを修正するしかない。
しかし,残り2時間で軌道修正をすると混乱することも起こりうる。
さて,N先生はどうしたでしょうか。
1分考えてみてください。
N先生はこのことに対して,子どもたちにどう思うか聞いて,「楽しくない」という声を拾う。
そして,「お互いが見ていても納得できるように一生懸命やろう」と声をかけたのだった。
その日の試合では,相手コートにボールが返らなかった場面で「ちがうねん,頑張って返そうとしてん」,「ごめ~ん」等の声が出ていたという。
それが月曜日の授業で,僕が見たのは昨日の木曜日。
これが最後の授業。
急な訪問で,N先生には迷惑をかけてしまった。
ごめんなさい。
授業は,もめることもなく,みんな一生懸命にバレーをしていた。
しかし,やはり空中にあるボールの操作が難しい子たちが何人かいる。
よく膝が曲がってボールを自分に引きつけている子もいる。
ボールの問題も大きいと思う。
この日は,授業の前にN先生から1チームのつなぎポイントの目標15ポイントが示され,6チームが2試合ずつするので,クラスとして15×2×6=180点が目標だと示された。
それをもう一組と比較するようだ。
結果は以下の通り。
さて,2回しか見ていない僕が,次にやるとしたら(あり得ないシチュエーションだけど),どんなことをやるかを書き留めておくことにする。
やはり「つなぐ」という意識を持たせるために,最初はキャッチしてもいいから3回で相手に返して,相手もつないで返す。
要するに,味方と相手が協力して何回つなぐことができるかを競う。
つながる意識が出来たら,N先生のように「つなぎポイント」をつけて,ワンバウンドあり,キャッチありのゲームを行う。
ここで「つなぎポイント」に差が出てくると思うので,「どんなバレーを目指すのか」を確認すると言いつつ,「つなぎポイントを多くとってしかも勝つことを目指す」という回答を引き出す。
このときに,「つなぎポイント」をどのように勝敗や得点に反映させるのかは,子どもたちに投げてみる。
「先生は,こう思うけど」と提案してもよい。
それでやってみて,問題がなければそのままで,問題があればまた話し合って,ルールの修正という形で解決を図る。
それと同時に,つなぐための技術的・戦術的な課題を確認して,その解決も図る。
結果的に技能差は埋まらないかもしれないけど,戦術的につなぐことを目指す。
時間はかかるだろうけど,スパイクにも持っていきたい。
時間を取ることが出来れば,スポーツのルールは何のためにあるのか,絶対的なものなのか変えることが出来るのかの学習も入れてみたい。
こういう議論がもっともっとできるといいのですが。