体育とスポーツの日記

                      石田智巳が体育・教育,そして運動文化論と運動文化実践(主にランニング)について書いています。

わかっちゃいるけどやめられね。

小学校での体育 in Long Beach

こんにちは。石田智巳です。

 

8月末から新年度が始まって,ある授業に出ていたのですが,その授業では9月末から現地の小学校に出かけていって,実際に指導をするという実践的な授業でした。

この小学校での指導プログラムは,11月の中旬に終わり,その次の週はThanksgiving Holidayで休みで,27日の火曜日にイベントがあり,29日に最後の儀式が行われました。

これから,この小学校での体育指導について紹介してみたいと思います。

では,どうぞ。

 

9月末から続いていた週に2回,火曜日と木曜日の13時から約1時間の体育プログラムが終わった。

このプログラムは,日本の大学の授業でいうと(僕の母校のカリキュラムでいうと),「測定・評価」にあたる。

始まってから4週(8回)は講義があり,その後9週間は,大学から車で15分ぐらいのところにある小学校で実習するというすごく実践的な授業だ。

学生は基本的に全員が車を持っていて,車でやってくる。

はっきり言って,僕のトヨタプリウス2005よりもうんと立派。

 

実習内容は,35人ぐらいいる子どもたちを2つのグループに分けて,1回につき二人の学生がそれぞれ先生として指導をする。

25分ぐらいの指導をしたら,子どもが入れ替わってまた同じ指導を行う。

学生の数は20人程度なので,1人が1回から2回授業をすることになる。

 

最初の週はCooperative Movementが中心で,第二週に1回目の測定がある。

測定項目は,1マイル走とカール・アップ(シットアップの親戚で腹筋)の2つ。

これがプレテストで,最後にポストテストがある。

大学の授業が「測定・評価」だから,これらのテストは重要な意味があるが,その他の時間は基本的に,2つのグループに分かれて学生先生が指導を行う。

指導の内容は,プレテストの後は,一人の先生のグループはボール運動で,もう一人の先生のグループは体力を高める運動となる。

 

体力を高める運動は,いろいろなバリエーションが用意されていて,飽きないようにしてある。

ボール運動は,それこそドリブル,パスなどの要素主義的な指導である。

 

だから,日本の体育(といっても,様々なスタイルがある)に慣れていると,違和感を持たざるを得ない。

そのことを直接担当の先生に訊いてみたけど,今考えてみれば,失礼な質問だったと思う。

 

その先生とは,行き帰りの車の中でいろいろな話をしたが,話している中で見えてくることがあった。

たとえば,カリフォルニアの小学校は2週で100分の体育の時間が当てられている。

この時間の使い方は,学校の裁量によるのだろうが,1回45分で週3回の体育の時間をとることができる日本とは違う。

カリフォルニアは基本的に担任が体育をするが,体育が重視されているわけではない,とりわけロングビーチはそうだというのが,大学の先生方の見方。

 

というか,2週で100分だったら,系統的な指導は難しいので,そうではなくできる内容にならざるを得ないだろう。

ところで,日本の体育とアメリカの体育の違いを考える上で重要なのは,日本はスポーツは学校体育とともに歩み,そして盛んになってきたという歴史があるということだ。

だから,小学校から大学まで,体育でスポーツを教えるのは当然だと考えるのが一般的だ。

 

運動文化論は,まさにその発想に立って,スポーツとは何か,何を教える教科かを問い続けてきた。

そこに迷いはない。

体育の教育内容の中心はスポーツを中心とする運動文化だから,スポーツや運動文化を対象に据えれば,運動技術・戦術が中心だとしても,それ以外の文化的な側面も含めて指導するのが体育の役割と考える。

こんな体育観はどこにもないのかもしれない。

確かめる必要があるが。

 

ただ,アメリカでもそういうのに近い考え方をする人がいる。

スポーツを文化として教える発想はないのかもしれないが,体育同志会に近いといえば,例えば,シーデントップのスポーツ教育がある。

 

でも,アメリカは世界第1位のスポーツ大国であって,世界第2位の肥満大国である。

どちらかというとこれが前提になっているのかと思う。

 

アメリカ人の肥満はやはりすごい。

肥満もだけど,体格が違う。

アメリカは,国もでかいし,公園もでかい。火事もでかいし,車もでかいし,松の木も松ぼっくりもでかいし,食べ物もでかいし,人もでかい。

太っている人は本当にでかい。

そして,その人たちが着るでかい服も当然だけどある。

だから,服もでかい。

 

学校が終わると子どもたちはみんな帰るけど,そこからスポーツをやりに行く子どもたちもたくさんいる。

ロミータ公園という公園では,放課後にフラッグフットボール,サッカー,女子のバレーボールの練習や試合が同時進行で行われており,テニスコートやバスケットボールコートでは,組織されていないけどプレイしている人が少なからずいる。

 

夕方,走りにいって高校の前を通ると,フットボールの試合をやっていたりする。

整備された人工芝のコートに,選手,コーチ,審判,チアリーダーブラスバンド,観客がいて,プロか?と思わせるような条件で試合をしている。

アメリカはスポーツは盛んだ。

 

となると,体育でスポーツの指導と考えるのは短絡的だとなるのだろう。

スポーツの指導は,外でできるのだから。

だとすれば,大切なのは,肥満の対策であり,みんなが生涯に渡って身体活動を続けるようにすることに向けられる。

 

というのが,僕なりの仮説です。これから,カリフォルニア,あるいはロングビーチ限定かもしれませんが,アメリカの体育のこと,大学生の体育指導について書いてみたいと思います。

 

 

 

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