体育とスポーツの日記

                      石田智巳が体育・教育,そして運動文化論と運動文化実践(主にランニング)について書いています。

わかっちゃいるけどやめられね。

教育のつどい(大阪府)3 上野山実践

こんにちは。石田智巳です。

 

今日もまた大阪府の高槻で行われた「教育のつどい」について書きます。

今日は,上野山さんの報告になります。

なお,大教大の久田さんの監修で,上野山さんも執筆している本が出ました。

ここで宣伝しておきます。

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報告は,普段はなかなか聞くことのできない報告でした。

では,どうぞ。

 

この日の午前中,体育の分科会で安武さん,飛田さんの実践報告を聞いた。

昼休みは,学校の前に餃子の王将と,カフェテリア方式のご飯屋さんと吉野家があった。

なんとなく王将に入るも,待っている客が一杯いた。

席はそんなに一杯ではないので,人手が足りていないというところか。

結局,吉野家に移動した。

僕は牛丼の並とお新香とお味噌汁のBセット。

あまり吉野家にはいかないのだが,たまたまこの週に一度いっていたので,吉野家率が上がった。

 

さて,午後からは健康教育の実践報告2本。

1本目は特別支援学校でのピアサポートの報告であった。

アイスブレイクをやって,ピアサポートをやるということだが,この報告は省略。

体育同志会の方ではなかったので。

 

そして,次が上野山さんの報告。

ちょうど,『体育科教育』の連載の最後(3月号)の原稿を提出するときだったのだが,最後に登場したのが上野山さんだった。

夏前にこのブログにも書いたのだが,連載でも飢餓問題を扱った健康教育の実践のことを書いた。

そして,書いた内容に齟齬があるといけないので,上野山さんと大津さんに原稿を送ってやりとりをしたところだった。

 

さて,上野山さんの実践は,「文化・学習・表現が生きる力に」というタイトルだった。

なんとなく愛知支部的なタイトルなのだが,これだけを見ても,どういう実践なのかがわからないだろう。

サブタイトルに-院内学級での取り組み-とある。

これだけ見ても,まだわからないかもしれない。

「院内学級」の存在を知らなければ。

 

僕も上野山さんに教えてもらうまで知らなかった。

院内学級とは,病気や怪我などで入院している子どもたちに学習権を保障するために,病院の中に設置された教室のことである。

これは,親たちの運動によって市立病院に設置されたのだという。

上野山さんは院内学級の担任をして2年目になる。

所属は,小学校になるのだが,毎日市立病院の小児科病棟に通っている。

 

あまりイメージがわかなかったのだが,話を聞いてこれは大変な仕事だと思った。

上野山さんがこの院内学級の担任になるのはいろいろいきさつがあったようだ。

なり手がいないということもある。

前任者も,そして別の先生の知り合いも,しんどくなってしまうそうだ。

病気の子どもだから,一緒にいてウツウツしてくるというのは想像に難くない。

 

脈が上がりすぎて,いつも全力疾走しているような状態の子がいたという。

突然,激痛が走って動けなくなる子もいる。

病気以外にも,生きづらさを抱えている子もいる。

上野山さんも,入り込みすぎて,頭痛持ちの子どもから頭痛をもらったこともあるという。

「入り込みすぎてはいけない」し,子どもの体のことを考えるとやれることが制限されるようだ。

みんながみんな意欲的に勉強するというわけでもないだろうし。

 

で,このせっかくの院内学級も持ち手がいなければ,お取りつぶしになる。

それで,管理職から頼まれてやることになったという。

若い人には任せにくいのだ。

なぜならば,上野山さんは多いときで1度に5人の子どもを見たという。

その5人が全員同じ学年ならばいいのだが,学年はバラバラ。

 

となると,各学年の担任経験があって,教える内容や教材の知識がある程度ないと,日々の授業に対応できないということのようだ。

しかも,中学生でも希望があれば受け入れることができるようで,上野山さんも中1の男の子の学習につきあったという。

入院している児童がいないときもある。

そんなときは,若い子にはやりの遊びとかを仕入れる時間に充てている。

 

さらに,長く入院している子もいれば,短期の子もいるので,知り合ってわかり合ったと思ったら退院してしまうという場合もある。

上野山さんは,安武さんの取り組みともつながってくるが,教科書を教えるということよりも,子どもがやりたいと思えることを用意してくる。

だから,アイスブレイクではないが,アイロンビーズやミサンガづくりなども取り入れているという。

からくり絵本(詩集)づくりとかもやったという。

 

印象に残ったのは,ものをよく作っていたということだ。

牛乳パックのけん玉で体育(?)もやっていた。

退院する子には,くす玉を割ってお祝いするという。

そのくす玉を割ると長い間テープが出てきて,みんなが驚くというものだ。

 

上野山さんの手にかかると,なんでも楽しそうな報告になる。

これも,恐らくはつらいことが多かったのだと察する。

管理職が派遣しておいて,管理職の理解が得られないという問題もあったという。

1人職種で相談しにくいという苦労もある。

それでも,こうやって報告することで,子どもたちのまっすぐさや,自分のやったことの積極面が改めて見いだせるようになるということなのだろう。

 

子どもや親からの感謝の手紙も見せてもらった。

ぜひとも,やったことや子どもの反応などを記録に残しておいてほしいと思う。

それが管理職の理解を促したり,後任にあたる人の導きになればいいと思うので。

 

 

 

 

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