石原結實著「『水分の摂りすぎ』は今すぐやめなさい」(三笠書房)を読む
こんにちは。石田智巳です。
今日は,タイトルに書いた石原結實さんの本を読んで考えたことを書きます。
では,どうぞ。
僕は時間ができると,ブックオフによく行く。
松岡正剛先生に教えてもらった通り,買った本の3割5分が当たりであったらいいわけで,当たりの数を増やすためには,買う本の数を増やす必要がある。
ということで,研究に必要な本は研究費で,本のタイトルがわかっている古本はアマゾンで,なんかほしいときにはブックオフに出かけていく。
先日も和歌山に行ったときに,国体通り沿いのもとダイエーがあったあたりに,ブックオフがあったので入ることにした。
この店舗はとても大きくて,全部を見ようと思えば1日では足りないほどだ。
そんなに時間が合ったわけではなかったので,とりあえず健康のコーナーを見ることにした。
そのときはぎっくり腰,肩こりがあった(今もだが)ので,そっち系の本を探そうと思ったのだ。
ダイエットの本なんかは,消耗品のようにどんどん新しいやり方が生まれるが,あれは読むのが楽しいのであって,それ以上ではない。
実際にダイエットというか痩せるためにやるとなるとオーソドックな方法,つまり,運動の量を増やして,食事の量を減らすことが中心となる。
だから,体重を減らすことはそんなに困らない。
問題は,その気になるまでに時間がかかる,あるいはその気にならないことにある。
さて,そういった健康のコーナーで,タオルを使った体操やストレッチの本が108円で売られていたので,それを買った。
それと,この石原さんの本も216円で買った。
実は,僕にも思い当たることがあったのだ。
僕は家でビール他の酒類をたくさん飲む。
しかし,飲み始めたらトイレに行くことは滅多にないし,夜中にトイレに目が覚めることもない。
飲み会に行ったら話は別だが。
で,水分はたっぷりとって外に出すことなく寝るのに,朝はのどが渇くのだ。
水分はたっぷりでも脱水。
そして,走りに行ったり,サウナに行くと大量に汗をかく。
2リットルぐらい出ることもある。
ただ,これまで変調を来したことはないし,ネットで調べてもよくわからなかった。
むしろ,水を多くとって血液をさらさらにしなさいだとか,水を多くとればダイエット効果があるという指導が多くなされていたので,水分を多くとって,それでトイレに行く回数を増やせばいいのかと思っていた。
それで,この『「水分の摂りすぎ」は,今すぐやめなさい』というある意味で挑発的な本が目にとまったからつい買ってみたのだ。
そのときは「体を温めると病気にならない」というような本だった。
でも,そのときは体調が悪いわけではなかったので,真剣に読まなかった。
今は,体調が悪いから体が欲しているのだ。
さて,読んでみた。
書いてあることは,ほぼ同じことだ。
まさに,「水分を取り過ぎるな」ということだ。
この人は漢方のことが出てくるように,東洋医学の考え方にたっている。
単純化しすぎと怒られるかもしれないが,風邪を引くという場合で考えるとわかりやすい。
西洋医学は,熱が出たら、冷やすことで熱を冷まそうとする。
東洋医学は,熱が出たら,体が熱を出すことで元に戻ろうとしているととらえて,汗をかかせる。
だから,東洋医学では,風邪を引いて,くしゃみや鼻水が出るというのも,身体が水分を外に出そうとしているととらえるのだ。
というか,そう石原さんの本に書かれている。
石原さんは,「冷え」と「痛み」を関連づけ,さらにその冷えをもたらすものとして「水」を位置づける。
西洋医学で熱を冷ますための方法は,身体そのものを冷やすことにつながるともいう。
それが水をとることでもある。
もちろん,水分がいけないのではなく,摂りすぎがいけないのである。
以前,ある学生が,「僕は一日5リットルほど水分をとるけど,大丈夫なのでしょうか?」と訊いてきた。
彼は体育会の運動部だから基礎代謝を含めた代謝が相当高いのだと思う。
それで,太っているわけではないし,これで維持されているということで,「いいんじゃないの?」ってテキトーに答えておいた。
いまでも,いいと思っている。
石原さんが言うのは,排出される水分摂取は問題がないけど,排出されないのに水分摂取をすることを問題視する。
男性でも中年太りや,女性では太っていなくても,背が高くて二重で目がぱっちりしている人で冷えている人に見られるという。
そういう人は水分と果物(水菓子)が好きなことが多く,水毒になっている可能性があるという。
僕の飲んだ次の日にのどが渇くというのも,まさに水毒なのだと思う。
だから,のどが渇くから水分を入れる必要はあるけど,石原さんに言わせると,余分な水分を抜くだけでものどの渇きは治まるという。
さて,重要な理屈は本の最初に書かれているのだが,脱水症状というのは,二つに区別されて,単に水分が足りていない状態と,水分とともにミネラル分も足りていない状態だという。
これはマラソンをやっているとよくわかる。
それで,血液どろどろにならないために水分をとれというのも,塩分を多くとるなというのも,西洋医学的には推奨されるのであるが,石原さんはそれも否定する。
否定するというか根拠がないというか,疑わしいとする。
水分をとる指導が多くなされているにもかかわらず,脱水で血栓症(心筋梗塞や脳梗塞)になる例はなく,事典にもその因果は載っていないという。
サウナで大量に汗をかいても,血栓症で倒れる人はいないし,高血圧になる人もいない。
僕も温泉に行ったあとすぐに血圧を測るとかなり低くなるので,汗を大量にかいたら血がどろどろになるというのはあんまり信じていなかった。
血栓症は朝の時間帯に倒れる人が多いという事実からすれば,それは身体が冷えていることによると考える方が自然だという。
そして,水が身体を冷やすのであれば,冷えが身体を硬くして症状が出ると考えるのだ。
水毒は,水分量が多いのに,必要なところには少なく,必要ないところに多いということだ。
だから,不必要なところの水分を抜いて,必要なところにいくような身体にしないといけない。
そのために,身体を温めるのがいいという話になる。
この理路はよくわかる。
体温を1℃上げれば,代謝は12パーセント上がるわけで,それだけで痩せる効果があることになる。
だから,今,紅茶にショウガをすったものを飲むようにしている。
というのも,肩こりも腰痛も肩甲骨周りの筋肉の張りから来るのであり(おそらく),それは血流を悪くしているからだ。
先日,整体で吸い球(カッピング)をやってもらって,よくわかった。
そして,自分で針を刺して吸い球をやってみたところ,なんと,レバーのようなドロドロの血が出たではないか。
つまり,水分を抜くことは,身体の冷えをとることであり,身体を温めて,血流をよくすることで,肩や腰の痛みをなくすと考えるのだ。
また一つ,健康になるための物語を採用したが,問題はそれが続くかどうかです。
また,経過を報告します。