体育とスポーツの日記

                      石田智巳が体育・教育,そして運動文化論と運動文化実践(主にランニング)について書いています。

わかっちゃいるけどやめられね。

一ノ蔵(体育同志会宮城支部ニュース) 4月号を読む2

こんにちは。石田智巳です。

 

今日もまた,体育同志会の宮城支部機関誌「一ノ蔵」を読んでみます。

今日は4月例会の様子です。

矢部夫妻の中味がとても面白いので,これを読むことにします。

では,どうぞ。

 

前に4月号を読んだときは,表紙の写真と1枚めくった3月例会の様子を書いた(一ノ蔵(体育同志会宮城支部ニュース) 4月号を読む )。

今日は,さらに一枚めくったらなんと,「4月例会」の様子まで報告されていた。

これも制野さんの報告だ。

 

安部さんという若手の報告,今年のプランニング(矢部夫妻),がんばれ!井上先生!というものだ。

ここでは,まず制野さんによる矢部さんのプランニングの報告について書いておきたい。

 

◇今年のプランニング~矢部英編~

矢部さんは,1学年のスタッフ10人に向かって,「自分と自分の周りに幸せを創り出していく力を育てる」と宣言する。

そして,1年生の最初で3年分の学年目標を提示するという。

中味は見ていないし,載っていないのでここで紹介することはできない。

しかし,矢部さんが子どもたちに語りかけたというその言葉がすごい。

そのまま載せておきたい。

 

「先生たちは小学校時代に君たちがどんなだったか全然知らない。ほめられたことも知らなければ,怒られたことだって知らない。

小学校だって6つの小学校から集まっている。

真っ白な自分に希望の絵を描ける。

それを先生たちは全力で応援する。

頑張ろうとするのに邪魔されるようなら全力で助ける。

やり直そうとしていたり頑張ろうとするのをバカにするやつがいたらただじゃおかねえ。

そもそも人をバカにするやつはゆるさねえ。

でもな,バカにされたと思うこと,あるかもしれないよ。

こんなにたくさん人がいるんだから。

バカにされてもぽしゃるんじゃねえぞ。

助けるからな。」

 

制野さんは,「ここまで学年主任がエンジンをふかせば,年度初めのローギアの先生方も動き始めることでしょう」,「この子どもへの語りかけは実は他の先生方へ,もっと言えば『職員室』という特殊な空間へ新鮮な空気を送り込むことになるのです」と述べる。

さすがだね。

 

それにしても,滋賀のあの熱く語れる人にしても,矢部さんにしても,本当にすごいね。

語って人を動かせるのだからね。

真似してできるものではない。

 

奥様の智江子さんは,今年の目標を「民衆民主主義を子どもたちに教え,それをクラスで実現し,子どもたちにもその良さを『体感』させ,それを実現しようとする力をつける」にしている。

「直球勝負」だ。

民衆民主主義という言い方がいいね。

民主主義というのは,本来,民衆のものなのにあえて,「民衆」をかんむりにつけるということは,そうでない民主主義が横行しているというものだものね。

 

佐々木賢太郎さんも,初期の頃(1950年代初めに),「人民民主主義」という言い方をしていた。

いつの時代にもあるということだが,大阪の市長さんも,この国の首相さんもいろいろやってくれるもんね。

アメリカで,集団的自衛権の法整備を進めて,同盟強化なんていっているけど,まだ国会で通ったわけではないし。

 

でも,やっぱり自分が不利な状況におかれたときに,「嫌だ」といえるようにすることなのかな。

しかし,制野さんは,やや厳しめに,期待を込めてこう書く。

「しかし,これはあくまでも方向目標,教師の指向性を表明したものにすぎません。学級づくり,各教科での取り組み,総合や行事づくりで具体的な取り組みで,実証していくしかありません。

クラスという最もローカルな単位の中で,いかに細胞的な民主主義を実現していくか,そのプランニングについても聞きたかったのですが,今後の実践に期待しましょう」。

期待したい。

 

黒川さんのところで院生をしていた井上さんが新任奮戦記を語ったようだ。

そして,彼も含めて,若い教師たち,宮教大の学生の参加もあって,制野さんは,次のように述べる。

「ただし,一方では同志会の理論や歴史を正確に伝えきれているかというとそうではありません。『ただ何となく誘われて楽しそうだから』『授業で困っているから』という動機は大切にしつつも,やはり同志会としてのエキスはきちんと伝えていくべきだと思います。

これは研究部としての責任です

ぜひ同志会の理論と歴史をダイジェストでもいいので伝えていく試みを考えたいと思います」。

 

みやぎ大会のときに,宮城支部の歴史が語られた。

それは理論史でもあるが,実践史でもある。

体育同志会中央の理論の流れに対して,独自の引き取り方をして,実践を作り上げてきたのが宮城支部だ。

体育同志会で唯一ともいえる『宮城の体育実践』(創文企画)を出している。

 

僕が言うのも変だけど,宮城独自の路線を走ってほしいし,簡単に迎合したり絡められないようにして,かつその路線にこちらも簡単に迎合せずに,いい影響を与えあうことができればいいと思ったりする。

日々語る言葉(パロール)は,体育同志会の理念や言葉(ラング)の影響は見えるものの,やはり独特のパロールであって,そのパロールが体育同志会のラングを変えていくことになる。

支部単位でそれができるのは少ない。

 

最後に追記がある。

それは,3月29日のNHKスペシャルの放送のことだ。

「ここで付記したいのは,あの綴り方の実践の背後には,膨大な同志会の理論や宮城が追求してきた実践があったということです。

年度当初にスポーツ委員会を立ち上げ,年間の4大行事として駅伝大会・運動会・剣道大会・球技大会を位置づけ,それぞれに開催の目的を話し合いました」。

これだね。

前にも書いたが,生活体育は2つの生活体育があるが,その2つを制野さんは学校で実現しようとしている。

そして,「みかぐら」も。

 

智江子さんの奮戦記を取り上げようと思ったのですが,中途半端になってしまいましたので,日を改めて書きたいと思います。

これもすごいのです。

 

 

 

 

http://tomomiishida.hatenablog.com/