犬のきゅう太くんの話
こんにちは。石田智巳です。
今日は,「犬のきゅう太くん」の話です。
何のことかわかりにくいですね。
どういう話になるのか,僕も楽しみです。
では,どうぞ。
4月5日は息子の誕生日だった。
その日は僕はハーフマラソンのレースだったが,息子はとても気を遣う子で,「誕生日はお父さんがレースでいい記録を出してくれたら,それが僕へのプレゼントだ」という。
泣かせるね。
で,その数日前のある日,子どもたちを連れて木津川市にあるクローバー牧場へ行った。
娘がここの牛乳を飲みたいといったのだ。
そこには当たり前だが牛が(牛舎に)いて,花もたくさん咲いている。
家からは車で15分ぐらいのところにある。
超有名なラーメンの「無鉄砲」というお店のすぐ近く。
帰りに僕は洗剤がほしかったので,カインズホームへ寄る。
買い物の間,子どもたちはペットショップへ行く。
買い物が終わったので,ペットショップに行くと,子どもたちが大喜び。
確かに,かわいい犬やねこがいる。
息子はそこにいた柴犬が気に入ったようだった。
娘はハムスターがほしいという。
何で?と聞くと,犬は10万円の単位。
ハムスターは1500円だから。
う~ん。庶民感覚でいいのだが,子どもなのに値段か。
自分のお金で買うと思っているのかな。
帰りの車で,息子が犬がほしいと言い始める。
飼えないことはないが,そんなこと考えたことがないし,そう簡単に飼うというものでもない。
だって,毎日晴天ということはありえない。
フンをするし,御飯をあげたり,散歩に連れていったりしなければならない。
手入れも必要だ。
生病老死,愛別離苦もある。
でも,珍しくものをほしがるので,それをむげに却下というわけにもいかない。
そこで,飼いたいという思いと,世話ができるかどうか,そのためにどうするのかを言わせてみる。
まず,図書館に行って,犬を飼う本を借りて読んで,飼い方の勉強。
朝は散歩に備えて,毎日6時半に起きる。
ゲームの時間は半分に減らす。
等々を実際にしている。
それで,先週の土曜日にもう一度カインズホームへ行くも,お気に入りの柴犬は売れてしまっていた。
そのため,別のペットショップにいって,また柴犬を見てきたようだ。
息子が柴犬が気に入ったのは,売れてしまった柴犬も,次に見た柴犬も,人が来ると,つかまり立ちのようになって,「かまってほしそうにする」からだ。
そして,日曜日に家族揃って別のショップを見に行く。
すると,まだまだ小さいとてもかわいい顔の柴犬がいた。
その犬は,金曜日に来たばかりでまだ緊張しているようだった。
僕は,こっちかなあって思ったりした。
しかし,息子はその犬に興味がないようだった。
なぜか聞くと,「かまってほしそうにしない」からだ。
それはまだ小さいからだと思うが・・・。
ということで,息子が気に入った柴犬を家で飼うことにした。
僕は,車を買うのも,家を買うのも,犬を買うのも決断は早い。
家人も同様だが。
飼い始めれば,飼うということがわかるだろうし,それをせざるを得ないこともわかると思うから。
買う前から万全にと考えたって,実際にはいろいろトラブルはあるし,それにつきあっていかざるを得ないのだ。
そういうものだと思っておいた方がいい。
そして,息子が自分でこの犬がいいと言ったことが大きい。
それで,日曜日の晩に犬と世話の一式を買って帰ってきた。
で,名前をどうするのかが問題になる。
実は,僕は雄の犬の名前は決めてあったのだ。
もちろん,この新しく来た犬のためにつけたのではない。
とはいえ,前に飼おうと思っていた犬がいたわけでもない。
もう20年ぐらい前のことだろうか。
テレビで,月曜日の夜9時からだったと思うが,「世界丸見え特捜部」とかいう番組が放送されていた。
その日は,雪崩についてやっていた。
外国のテレビ番組の紹介である。
まず,雪崩が起きる仕組みの解説があった。
春先とかの夜に,気温が下がって斜面の表面の雪が固まったところに,やわらかい雪が降って,日中に気温が上がると起きやすいという。
そして,スキーをしていて雪崩が起きても埋まらないために,エアバッグのようなものを背負って,いざというときに空気を入れれば,雪の上を滑るようにしていけるとか,いろいろな工夫が考えられているという。
しかし,そういう工夫を考えたとしても,実際のスキーヤーたちがそれには見向きもしないのが現実だ。
そこで,実際のゲレンデの映像が流れる。
なんだか,志賀高原のどこかのようだが,確かスイスだったと思う。
そこでは,救助隊が横一列に並んで,竹の棒のようなもので,地面を刺しながら,歩いて上がるという映像だ。
埋まった人がいないかどうかこうやって探すということだ。
これは大変だ。
次の場面では,救助犬がゲレンデの上の方から,ワンワンいいながら走って下りてくる映像が流れる。
何匹もいたのだが,小型で柴犬のような見た目の犬たちだ。
そして,その中のある犬が,雪面に鼻を近づけて,クンクンにおいをかいでいるのだ。
そこにナレーションが入る。
「最後は,犬のきゅう太くんに頼るしかないのです。」
「へぇ~」
「この犬,きゅう太くんというのか」
と一瞬思ったが,「あれ,ここはスイス」。
次の瞬間,「ああっ」,「犬の嗅覚に頼るしかない」だ,と思い直す。
でもなぜか,その「犬のきゅう太くん」が,僕の頭の奥底にこびりついたままだった。
この日のためにしまわれていたのだ。
だから,うちに来たこの柴犬の名前を決めるときに,子どもたちはいろいろ意見を云ったが,ここはもう「きゅう太くん」で決まりだった。
子どもも,喜んで「きゅう太」「きゅう」と呼んでいる。
ということで,息子の誕生日から1週間後の4月12日に,犬のきゅう太くんが新しい家族となったのでした。