アメリカ人にとって,わさびは辛いのですか?
こんにちは。石田智巳です。
今日は,タイトルに書いたように,わさびは辛いのかという話です。
これは,昨日書いた「生活指導は英語でガイダンス!?」という話に絡めた話です。
では,どうぞ。
なぜか突然わさびの話だ。
僕がもう10年以上前に,岩国短大にいた頃,御庄という土地に住んでいた。
みんなは田舎だといって馬鹿にした。
田舎といっても,新幹線の新岩国駅のそば。
こだまが停まる駅だから田舎だという。
この清流線は錦川に沿ってあるが,川を上っていくと,錦町に出る。
そこで,わさびの葉っぱを買った。
買ってもどうやって食べたらいいかわからなかったので,聞いたところ以下の通り。
ザクザクと刻んでざるに乗せて,80度ぐらいのお湯をかけて,あとはそのざるを振って湯を馴染ませる(?)ようにする。
そして,瓶の中で醤油と酒に漬ける。
それだけ。
最初は成功した。
わさびのツーンとした辛さがいい塩梅だった。
ところが,失敗したことがある。
お湯の温度が熱すぎたのだ。
ツーンとした辛さが全く抜けて,独特の苦さだけが残った。
さて,昨日,生活指導を英語で表すと「ガイダンス」という話をした。
でも,どっちの言葉も使うが,というか,どっちも使うということは,二つの言葉の概念が違うということだ。
それを以下のように書いた。
「日本語と英語で,日本語の生活指導(シニフィアン)の概念(シニフィエ)と,英語のガイダンスのそれとが一致しないということなのだろう。」
モノがあって,それに名前をつけていくのではなく,差異に対して名前をつけていくということなのだが,具体例で話した方がいいのだろうね。
「字を覚えて夕焼けがきれいに見える」とか,話す言語によって虹の色が7色だったり,6色だったり,2色だったりするという話。
日本語は,主語と述語が曖昧で,自分の主張よりも,ぼかすような言い方になるというが,それは劣った言語という意味で用いられる。
しかし,日本語はというか,俳句のように,情景を表す言葉が多いのだ。
よくいう「雨の降る様子」を表す言い方が多様にあるとか。
ポタポタ,シトシト,ザーザー,蕭々と,など。
先日も,テレビで芸能人が俳句を作って,それをプロが採点するというのをやっていた。
それでポイントは,字数やリズムもあるが,情景が画像のように立ち上がってくるかどうかだそうだ。
つまり,その俳句を詠めば,字やその音が絵に変化されるかどうかがポイント。
そういう言語という意味では,日本語は評価される言葉でもある。
日本語は,そもそも中国語(真名)に対する仮の名(カナ)というへりくだった言葉でもあり,言語体系に敬語といった上下関係を含む言葉でもある。
だから,英語の第一人称のIは,日本語では,私,僕,オレ,拙者,手前など身分や話す相手によっていろいろ変わる。
僕のこのブログも,最初は「ですます調」でへりくだり,始まると「だである調」で話すといったように,二人の話者が登場する。
これも,シニフィエとシニフィアンの違いなのだが,ラング(国語)とパロール(言語活動)の違いでもある。
ラングが社会的に構成されているというのは,納得できるね。
で,わさびなのだ。
僕が,さらに以前,ミクロネシア連邦のコスラエ州(Kosrae,発音はコシャエ)にいたときに,マグロの刺身があった。
日本時代があったのだから,刺身を食べるのだ。
醤油もある。
キチンと覚えていないが,マグロは1ポンド(450g)1ドル(あのころで,125円ぐらい)だった。
リーフフィッシュは,1ポンド50セント。
ロブスターが2ドルで,マングローブ蟹が1.5ドルだったような気がする。
自然のモノはとにかく安かった。
でも,シーチキンが2.5ドルとかした。
へんなの。
しかし,向こうでは食べ方が違う。
薄く切ったキハダの刺身に,ライムを搾り,醤油をかけ,ひどく辛い生の唐辛子を切ってかける。
あと,タマネギのみじん切りをいれる場合もある。
ライムは,刺身にかけると身が白くなって殺菌作用があるのだ。
だから知恵なのだが,これはこれでうまい。
僕は,ライムの汁と醤油を合わせて,唐辛子を入れたタレにつけるのが好きだった。
で,日本ではわさび醤油食べるということを紹介した。
食べたいという人がいたので,食べさせたら,なんと
「Too,hot!」というではないか。
えええ,僕は行ったばかりの頃は英語がよくわからなかったが,こればっかりは違うと思った。
だって,hotなのは,わさびではなくて,唐辛子でしょ。
hotは日本語では,辛いではなく熱い,暑いなのだ。
舌が焼けてひりひりする,カラムーチョのイメージだ。
唐辛子が入ったものを食べると汗をかく。
風呂に入れば汗をかく。
わさびを食べても汗はかかない。
でも,唐辛子もわさびも日本語では辛いだ。
日本には唐辛子がなかったのだろうか。
だから,日本では,わさびのような辛さが辛いのシニフィエだった。
アメリカでは,唐辛子の辛さが辛いのシニフィエだった(辛いものは他にもあるが)。
でも,二つは違う。
ということは,二つの言語にそれを適切に表す言葉がないということだ。
先から,全部カライを漢字で表現したが,カライ(辛い)はツライのだ。
わさびの辛さは,辛さ(ツラサ)でもある!?
それを英語にすると,hardか?
よくわからないけど,わさびの辛さを適切に表す英語を誰かつくって輸出してください。
tsune(ツーン)とか。
それと,唐辛子の辛さを表す日本語をつくってください。
アッタカライとか。
ホッタカイとか。