体育とスポーツの日記

                      石田智巳が体育・教育,そして運動文化論と運動文化実践(主にランニング)について書いています。

わかっちゃいるけどやめられね。

「村上さんのところ」がはじまりました

こんにちは。石田智巳です。

 

昨日まで3回,『たのしい体育・スポーツ』の林俊雄さんの文章を読んで考えたことを書きました。

それでも,まだ自分が考えたことを書いたのであって,林さんの文章に即して書いたというわけではありません。

 

「長尾の涙」というサッカーの実践記録は,面白く読めるのですが,それを僕の言葉で起こしていくというのはどうも問題があるような気がします。

だからといって,実践そのものをクールに要約するのも違うような気がします。

一番いいのは,自分で読むこと,読んで感じたことを大切にすることだと思います。

 

近年,文学でも,作品が大切なのではなくて,読み手が何を感じるのかが大切だとされたりします。

文化の違う人が読めば,違った感情が生まれてきます。

そのことの方が,「作者がいいたかったこと」をあてる国語の問題よりも大切だということです。

 

という前振りですが,世界中の読み手に何らかの感情を喚起させるすぐれた小説家の村上春樹さんが,ネット上でみんなの質問に答えるコーナーが始まりました。

今日はそのことについてです。

では,どうぞ。

 

村上春樹さんの質問受付コーナーが始まった。

ネット上に「村上さんのところ」というサイトがある。

そこから,一定の手続きを経て,次の4つから質問ができるようになっている。

1. 村上さんにおりいって質問したいこと・相談したいこと
2. 村上さんにちょっと話したいこと
3. 私の好きな場所・嫌いな場所
4. 「猫」あるいは「ヤクルト・スワローズ」関連

 

受付は,1月15日から1月31日の23時59分まで。

サイトには,「村上さんはすべての質問に目を通します。そのうちの何通かにお返事を書きます。残念ながら,寄せられたすべての質問に答えることはできませんが,『返事が来たら,うれしいな』くらいのお気持ちでいてくだされば幸いです」と書かれている。

 

実は,こういった企画は今回が初めてではない。

僕は,こういった企画をリアルタイムで知ったのは今回が初めてだが。

こういった企画は,僕が知る限りで,過去に3回あった。

 

最初は,週刊朝日に連載されていた「村上朝日堂」のホームページで,1年半ほど受け付けていたようだ。

それが,後に『「そうだ,村上さんに聞いてみよう」と世間の人々が村上春樹にとりあえずぶつける282の大疑問に果たして村上さんはちゃんと答えられるのか?』という本(ペーパーバック)が出た(2000年)。

このときの企画はその後,『「これだけは,村上さんに聞いてみよう」と世間の人々が村上春樹にとりあえずぶつける330の質問に果たして村上さんはちゃんと答えられるのか?』にもなって出た(2006年)。

 

この「これだけは,」が出版された記念に,2006年3月から3ヶ月間限定で,同じような企画が持たれ,それが,『「ひとつ,村上さんでやってみるか」と世間の人々が村上春樹にとりあえずぶつける490の質問に果たして村上さんはちゃんと答えられるのか?』となる。

 

さらには,『海辺のカフカ』が出て,2002年の秋にも2ヶ月あまり,この小説を巡って,ネット上で質問に答える企画があり,それが少年カフカというなんだか少年ジャンプや少年マガジンのような体裁の本(ペーパーバック)となって出た。

このときは,1220もの質問に答えており,頁も500頁ほどの大部なものとなった。

 

そして,今回である。

すでにホームページ上に,質問と答えが書かれているが,「さすが」だなと思わせる内容だ。

答えは,肩すかしのようなものもある。

ガッカリさせるというよりも,「そう答えるのか,なるほど」というものだ。

もちろん,誹謗中傷のようなものもあるだろうし,答えられないもの,答えたくないものもあるだろう。

 

ホットな話題としては,例えば,以下のようなものがある。

「ヘイト・スピーチはどう思うか?」という質問に,「小説家をやっていると、しょっちゅうヘイト・スピーチを受けているようなものです。」とまず答える。

そして,「でも人種とか生まれとか、自分ではどうにもならないことでひどいことを言われるのって、救いがないですよね。フェアじゃない。こういう世の風潮はなんとかしなくては」と答えています。

 

これは,まず自分の経験を語り,それだけでは質問の答えになっていないから,自分なりの考えを語っている。

 

今回のじゃないし,どこに書かれていたのかまったく覚えていないけど,僕が好きなのに次のようなのがある。

「11月末だったか12月初旬(要するに晩秋)だったかに結婚式を挙げるのはどうか?」という質問に対して,「よかったね。まだリスもクマも呼べるね」と答えていたのがあった。

 

この企画は,また本になるのだろう。

しかし,このときは安西水丸さんのイラストではない。

安西さんは昨年亡くなった。

今回のサイトでは,フジモトマサルさんの絵となっている。

これはこれで村上さんらしいが,テイストが違う。

変な4コマ漫画は挿入されないのだろう。

なお,知る人ぞ知ることだが,村上ワールドによく出てくる「ワタナベノボル」は安西水丸さんの本名なのだ。

 

実は,僕も昨日こっそりと質問を送っておきました。

内容は教えられません。

ラブレターを送って,返事を待っているような気持ちです。

期待はそんなにしていないので,割とあっさりしていますが。

 

万が一,返事が書かれたらまたお伝えします。

 

 

 

 

 

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