体育とスポーツの日記

                      石田智巳が体育・教育,そして運動文化論と運動文化実践(主にランニング)について書いています。

わかっちゃいるけどやめられね。

ダブルダッチの授業2

こんにちは。石田智巳です。

 

今日は,ダブルダッチを授業でやった話です。

これは,10月12日の記事(ダブルダッチの授業 )の続きになります。

では,どうぞ。

 

前期に行ったダブルダッチの授業では,結果として全員が入って3回跳ぶことができなかった。

そういうときに,しつこい僕は,この後期の授業で何とかリベンジを図るべく,いろいろ思案していたのだ。

といっても,その日の朝に,「ああしよう」,「こうしてみよう」というのを考えるだけなのだが。

 

繰り返しになるが,授業の流れを説明したい。

まず,出席を取って準備運動をする。

そこから,大縄をみんなで順番に跳ぶ。

最初は,アップをかねて,一人二回跳んで抜けていく。

次に,反対回しにして,迎え縄を跳ぶように伝える。

途端に,入るのをためらったり,タイミングがわからなくなる,あるいは跳べない学生が出てくる。

これは結構難しいのだ。

 

そこで,みんなに説明。

ダブルダッチが難しいのは,1つには,この難しい「迎え縄」を先に跳ばないといけないからだ。

だから,まずは全員が迎え縄を跳べるように練習する。

このとき,ダブルダッチ用の縄を班に1本だけ渡して,一人5回チャレンジさせる。

終わったら座らせる。

 

次に,みんなの前で,2つの跳び方を実演する。

1つは,跳びながら入る(A)。

もう一つは,入ってから跳ぶ(B)。

これは,説明が難しいのだが,僕としてはBの跳び方をやってほしいのだ。

とはいえ,すごくこだわるわけではなく,両方が意識的に跳び分けられるのは理想。

 

そして,全員が2回ずつチャレンジしたところで,前期にもやったように,Bの跳び方を音で表すようにする。

音というのは,オノマトペのことだ。

 

今回やっていて気づいたことがある。

学生には,迎え縄を跳ぶ時は,入った側に戻るようにして出ることを指示する。

でないと,つまり反対側に出ようとすると,縄がそれこそ自分を迎えに来るように襲ってくる。

下手すると,首に引っかかるのだ。

それを注意しておいても,僅かながら数名は反対に抜けようとして,縄に引っかかる。

 

そのとき思ったのは,一本の迎え縄を跳ぶ時に,オノマトペは,「入る」,「跳ぶ」だけでなく,「出る」音も必要だということだ。

つまり,学生には,タン(縄が着く音),サー(入る音),トン(跳ぶ音),スー(出てくる音)を示して,一連の動きとしてやらせてみる。

これをしないと,跳んだところでリズムとしては終わりとなって,出るときに困る学生がいると思うのだ。

 

それで,このタン,サー,トン,スーは,別にこれでなくていいので,これをもとによりやりやすい音を作らせる。

それで,これも新たな発見だったのだが,学生達は,跳ぶのに困っている子を見ると,入るタイミングを「今,今・・」とか,「ハイ,ハイ」とか声かけしてやるのだが,それでは明らかに遅いのだ。

要するに,自分が行くタイミングを伝えているから,云われた学生はそこからコンマ何秒以下のズレがあって遅れる。

しかも,縄を見ているとは入れる気がしないようだ。

 

だから,あるグループに行って,目をつぶってもこのタイミングだったら入れるというものを探させた。

つまり,まわっている縄のそばギリギリに立って目をつぶり,「タン」と縄が着いたら,(このタイミングを口で言うのは難しいのだが)目をつぶったまま入る,そして跳ぶ。

「タン」の後どのぐらいの時間をおくのかを自分なりに見つけるのだ。

そうしたら,「縄を見ているとやりにくい」と云っていた子の数名が,視覚に頼らないで,聴覚に頼る方がやりやすいと云ってきた。

 

こうして,二本の縄を回す練習をして,ダブルダッチに入った。

目標は,入って3回跳ぶことだ。

 

授業をやっていると,どうしても気になる学生,気になるグループがある。

それは,苦手な子であり,そういう子にアドバイスを送らないグループである。

自分が跳べるようになるのが楽しいので,タイミングがつかめていない子にはお構いなしとなる。

一方,跳べていない子に自然に配慮し,できるようになったら拍手と歓声が上がるグループもある。

 

今回は,グループには何も云わずに,終わる前にある跳べていない学生のところに行って,最初のタイミングを思い出すように言った。

その子は,これまでの授業を見ていても,運動が苦手な子であった。

ただし,1本の縄では,うまく跳んでいたのだ。

二本になったら途端に,タイミングが合わなくなってしまった。

おそらく,縄を二本とも見てしまって,うまくいかなかったのだろう。

だから,目をつぶってやったときのことを思い出させて,やらせてみた。

そうしたら,タイミングが合い始めた。

3回ほどやったら,入って3回跳ぶことができた。

 

ということで,今回は,雪の中で学生は3名ほど欠席したものの,全員が目標の3回を跳ぶことができた。

 

前回の反省では,あごをあげるようにタイミングを取ることを云わなかったので,今回はそれも紹介した。

しかし,むしろ,視覚ではなく,聴覚に頼って跳ぶというチャレンジがよかったように思う。

だから,思い切って目をつぶってやってみることも必要なのかもしれない。

 

やっぱり,みんなが跳べるようになると,僕も嬉しいが学生も嬉しいようだ。

ただ,もしかしたら,「跳べたので,もうこれでダブルダッチはやらなくていい」という嬉しさもあるのかもしれない。

それは困るが。

 

 

 

 

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