体育とスポーツの日記

                      石田智巳が体育・教育,そして運動文化論と運動文化実践(主にランニング)について書いています。

わかっちゃいるけどやめられね。

ドル平泳法の指導

こんにちは。石田智巳です。

 

今日はドル平泳法の指導についてです。

長野の小山吉明さんが,長野支部ニュースに書いていたのを読んで,記事を書く気になりました。

ドル平はうまく作ってあると思いました。

では,どうぞ。

 

7月20日の水曜日に,娘がプールに行きたいと言い始めて,仕方なく田辺市のプールに連れて行ったことを,以前ブログに書いた(ランニングの記録 7月18日~24日 )。

そこには,以下のように書いた。

 

「娘はかつて,スイミングクラブに1年ほど通わせていたが,あんまりうまくならずに別の習い事をさせていた。

泳がせてみると,なんと呼吸ができていない。

僕が講義で泳げない子どもの特徴は,呼吸ができていないことをあげて,その克服の方法を話しているのだが,身近にそれがいた。

いつも泳ぐときは,浮き輪だとか,ボートに乗っていたからわからなかった。

 そこで,呼吸とドル平をやることにした。

しかし,小学生でいっぱいのプールでなかなか講習のようなことは難しい。

と思ったら,午後の部は4時半までに更衣室を空けないといけなくなり,終了。

また連れて行って,泳ぐ練習をしよう。」

 

前回,プールに連れて行ったときに,鼻に水が入るようで,顔をつけるときにはいつも鼻をつまんでいた。

だから,ドル平のようなことをやろうとしても,鼻に水が入るのが気になるようだった。

 

ところで,息子も娘も引っ越す前には近くのスイミングの通わせていた。

ていのいい,学童保育のようなものだが,子どもがやたらといて,泳ぐ時間も少なく,うまくしてもらえないので,やめさせたのだった。

息子の場合は,バタフライの試験に合格しないので,僕が別のプールに教えに行ったこともあった。

それが息子が2年生のときのことだった。

1回だけプールに連れて行ってドル平をやらせてみたが,あんまり効果を感じなかった。

力が抜けなかった。

 

ドル平泳法とは,泳ぐということを,手足をかいて進む以前に,浮いて呼吸をすることを大切にした指導法だ。

だから,手は呼吸をするために,足は身体を浮かせて,かつ進むために打つ。

呼吸と脱力を教えるための教材であり,基礎泳法であり,ある人に言わせれば,新しい文化創造でもある。

 

さて,その2年後に,子どもたちをつれてまた別のプールへ遊びに行った。

息子が4年生で,娘が2年生だった。

そのときに,「そういえば」と思って,息子にドル平をさせてみた。

肝となるのは,呼吸をした後,顔を水につけてやや頭を入れるようにして,じっとしていれば,身体は勝手に浮いてくることがわかるかどうかだ。

やってみたら,力が抜けて,いい感じだった。

2年生と4年生の違いは,上のことが頭で「わかって」やれるかどうかだろう。

 

この力を抜いて浮いてくる感じがわかれば,バタフライのかきのタイミングもつかみやすいと思う。

 このとき,2年生の娘にもさせてみたが,呼吸のときに力が入り,そのまま力が抜けない。

そのときに,2年生だから無理にドル平をさせる必要はない,とほったらかしにしておいたのだった。

 

そして,ほったらかしたまま3年が経ち,前回7月20日にやってみた。

このときは,先に書いたように,呼吸ができていないので,プールに顔をつけて,パッと吐いて,その反動ですう練習をした。

でも,まだ浮いて呼吸をして,浮いてくるというところまではいかずに時間切れ。

 

次に連れて行ったのは,8月9日夜。

田辺のプールにつくと,なんと夜は外の営業は無しだった。

それでも,せっかくなので娘にドル平を教えてみる。

その前に,少し自由に遊ばせてみたら,やはり鼻をつまんでいる。

そして,呼吸の練習をする。

この日は丁寧に順序立てて指導してみた。

 

それから,水の中に体を沈めるようにいうと,浮いている。

逆に浮いてみるようにいうと,沈んでいく。

それが面白いのか,娘は大笑い。

人間の体,特に子どもは,息を吸っておけば体は浮くことを頭で理解させるために,実験をした。

そして,僕が浮きながら,息を吐き続けることで体が沈んでいくこともやって見せ,娘にもさせてみた。

 

それで,小プールの端からドル平のようにさせてみた。

最初はレグレス。

どうも鼻に水が入るのが気になるので,あんまり聞いたことないけど,顔を水につけるときに,少しだけ鼻から息を吐くようにいった。

それができるようになってきたので,「ぱっ,ぽちゃ~ん,トーン(呼吸,沈む,キック)」のリズムをいわせて,ワンキックだけど,ドル平をさせてみた。

そうしたら,あっさりと端から端へといけた。

 

僕は息子のことで心配なことがあったので,これで娘の練習は終了。

後は,妻に任せて,一端外に出る。

外から娘の泳ぎを見ていたら,呼吸をして,キックをして浮いてくるのがどんどんうまくなっていくのがわかる。

最初は,呼吸をするときにややのけぞるような角度でやっていたのが,だんだんと力が抜けて,またふわーっと浮いてきて,完全に頭が出てから次の呼吸をしている。

聞けば,小プールだけど3往復できたという。

娘は泳げるようになったことを喜んでいた。

少しだけだが,水の中での自由を獲得したようだ。

 

もちろん,ドル平で泳げただけだが,泳ぎを構造的にとらえるならば,水の中で浮いて呼吸をすることができれば,後は手足の形を変えることができればよい。

昔,「ドル平をやると,平泳ぎができなくなる」というドル平中傷論を聞かされたことがある。

クロールから入れば,あおり足がなくなるということはないはずだが,なぜか嫌われていたようだ。

 

でも,「探偵ナイトスクープ」2010年12月3日の「泳げるようになりたい美女」では,オリンピックのメダリストだって,泳げるようにさせられなかったのだ。

そのときの依頼者が泳げなかったのは,浮いて呼吸をすることができなかったからだ(最後は鬼の形相で25mを泳いだ。あれは自由形であってクロールではない)。

だから,「リラックスして,浮いて,呼吸をしながら進む」というドル平泳法の効果は絶大だと思う。

もちろん,その範囲でだけど。

 

ナイトスクープに関しては,大阪なんだから,牧野さんとか,佐々木さんとかあたりに出て行ってもらいたいものだ。

 

そういえば,体育同志会の水泳指導については,『たのしい体育・スポーツ』夏号に書かれているので,読んでみてほしい。

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試すのは来年になるかもしれないが。

 

ということで,長野の小山さんの話を紹介できませんでした。

またいつかします。

 

 

 

http://tomomiishida.hatenablog.com/